日本語学校 参与観察の備忘録

実態を社会学的にみてみよう。

日本語教師のやりがい

日本語学校日本語教師は、給料が安い、残業代が出ない等のデメリットも多くあるが、それを払拭するほどのやりがいは留学生との関わりあいや学生の成長を見れることであろう。

留学生との関わりあいは、普段のコミュニケーションに驚きや発見、笑いがある事だ。例えば、はとがの違いを説明するために、「私は学生です。私が学生です」と言ったとする、そうすると、「せんせいは がくせいじゃありません‼︎」と真面目な顔でツッコミがくる。本来伝えたいことと全く違う所のポイントをもって反応が返ってくるのだ。ゴキブリの件に関して言えば、小さなゴキブリが寮にいたため注意すると「せんせい、これはアリです」、「これは ともだち‼︎」と言う。これは冗談ではなく真顔でいう。教師側の反応に気づくと、後からそれを冗談として使うようになる。

また、アルコールに関して厳格であるネパールの学生が、アルコール度数の低いカクテルをジュースと間違えて授業中に飲み、顔を真っ赤にさせて「先生わたし あたまがあつい」という。それがアルコールのせいだと分かった学生は本当に落ち込み、教師は一緒に今後のことを考えたりする。

成長であれば、新しい文型が導入される度に学生の表現力もついてくるため、日々の生活や何を考えているのかが分かるようになる。毎日顔合わせていても、初期の頃はお互い何者かよくわからないままで授業をするので、こうした成長とともに信頼関係が築かれていく。

日本語教師が口を揃えて、学生とのコミュニケーションが1番のやりがいというのは、こうした些細な出来事が日々の授業の中で散りばめられているからであろう。