日本語ができない留学生の銀行口座開設
日本語が殆どできない留学生が新規に入国したときに一番大変なのは銀行で口座を開設することである。まず銀行は、日本語が話せない外国人の口座開設を認めない。理由は犯罪を防ぐためである。日本語が話せない外国人が日本語ができる外国人や日本人が同伴しない場合、どんな理由にもかかわらず拒否する。そして、外国人が口座開設する場合、様々な制限がある。具体的な制限は、まず日本語が話せない外国人が3人以上で来店しないことである。必ず2人までである。そして来店の際には必ず日本語ができる人が同伴することである。口座開設自体に時間がかかる上、日本語が話せないため相当な時間がかかるためである。次に、来店する場合、月末と月初と5の倍数の日は避けることである。そして、来店は午前中、できるだけ開店直後に来店することである。これを守らないと、銀行からクレームの電話が日本語学校にかかってくる。クレームでは、他の日本人のお客様の迷惑になる、こちらも忙しいのに、日本語ができない人を連れてこないでください等である。長年、専任講師をしている日本語教師は、銀行の中にはそもそも外国人の口座開設をしていない所もあるため、新規に口座開設をしてあげているだけ有難く思わなければならないと言う。しかし、このルールを守れない状況もある。例えば、アルバイト先から給与振込の銀行を指定されて、急遽、口座開設をしなければならないことが起きたとき、柔軟に対応してくれる支店を探して何箇所も回ることになる。最寄りの支店に行っても対応してくれないためである。
日本語学校という何をしてるか分からないと社会でうわさされる所の留学生だと、銀行の対応がとても冷たく感じられる。有名大学の留学生の口座開設では、こうしたトラブルを聞いたことがない。
夏休みの専任講師の仕事
夏休みに入っても専任講師の仕事は減らない。正規の授業が無い時間代わりに普段できないことをしている。例えば、教材関係の電子化や生活指導に関する教材の作成等がある。その他、夏休みに入ってもやってくる学生や事故の対応、そして新入生のアルバイトの世話、経営者が持ってきた短期レッスン等もある。
その為、専任講師は交代で夏休みを取ることになる。
死亡にかかる費用の負担
留学生が死亡した場合、誰が葬儀や火葬費用を負担するのだろうか。特に途上国から来た国の場合、両親が学生の入院費や葬儀費用を支払えない場合もある。
日本語学校の場合、経営者の意思にもよるが、その費用は学校が負担する。危篤状態になった時、親族に貯金がなくてビザ申請ができないところから手助けする。そして、航空券、日本での滞在費用や滞在期間の親族の世話までする。
留学生の死亡防止のために
留学生が日本に滞在中、様々なトラブルに巻き込まれる。その中で一番最悪のケースは亡くなることだ。
亡くなる理由は、事故に遭うケース、病気のケース、自殺のケースがある。多くの留学生を受け入れる教育機関では、こうしたケースに対応したことがあるであろう。
実際のケースの状況を整理すると、事前に防ぐことができたかもしれないものや、どうしようもなかったものもある。
その中でも病気のケースは、日本の留学制度として厳しいルールを設けても良いのかもしれない。入国前の事前健康診断の検査する項目を明確にする、発展途上の国で健康診断ができない場合は、受け入れ機関でしっかり受けさせる制度を設ける等である。
夏休みの前の生活指導
日本語学校では一カ月に一度、生活指導が行われている。
生活指導では、その都度に応じた生活に関わる注意喚起が行われる。5月は入学に関わる事項、6月は雨に関する注意喚起が行われる。夏休み前の7月は夏休みの過ごし方や海やプール、出国に関する事項が伝えられる。日本語が初級の学生もいるため、注意事項が書かれた紙はやさしい日本語と共に多言語に翻訳され、今どこを説明しているのかが分かるようになっている。こうした指導は約1時間ほど行われる。
しかし、学生の集中力はそう長くは続かない。説明が始まって30分が経つ頃には、隣の学生と少しずつ話を始める。寝始める学生もいる。この生活指導が始まる前に各教室では携帯電話をカバンに入れる指導が行われるのだが、こっそりポケットに入れていた学生が携帯をいじり始めたりする。巡回をする教師がいるのですぐに注意されるのだが、巡回の日本語教師は一人だけである。200人ほどの留学生を2人で統率するのだから、日本語教師の外国人留学生を統率する腕は日に日に磨かれていく。