日本語学校 参与観察の備忘録

実態を社会学的にみてみよう。

教案どおり授業をしない非常勤講師

授業は決して教案通りにはいかない。できなかった所は報告すればいいのだが、個人的な選り好みでらやっていないことがある。そして、それを専任講師に報告しない。報告しないというのは、報告書にも書かなければ、申し伝えのように専任講師と話すときにも話題にしないことである。

非常勤講師は、専任講師と話をした後に報告書を書く。専任講師も非常勤講師との話をする時間は限られているので、ある程度話が終わると後は報告書と照らし合せて調整を考えることになる。つまり、対話と報告書によって引き継ぎを完了させる。そして専任講師は、報告書に書かれていない内容は、次の日別の非常勤講師に伝えたりもする。

しかし、こうした報告において、特段の理由もなくやっていない所を伝えないのだ。そして、専任講師は、引き継いだ次の日の授業の時に学生からやっていないことを聞かされるのだ。学生が言わない場合もあるので、その時は気づかずに進めていくことになり、積み上げが上手くいかなくなった時や、復習チェックを行うときに抜けている事に気づくのだ。

こうした行動がよく見られる非常勤講師が授業で飛ばす所は会話の聞き取りや会話練習の部分が多い。そして、その他、格助詞の復習という教科書から少し外れるものだ。一度、非常勤講師から言われたのは、会話はやっても学生に難しすぎる、会話練習部分はやってもやらなくても同じ。格助詞は意味が沢山ありすぎてどこまで教えていいかわからない、というものだった。

非常勤講師は、教科書に沿った内容しか教えないと暗黙のルールで仕事が限られているのか。そうであったとしても、教科書の内容を報告なしに飛ばすのは教科書に沿って教えていないということになる。

非常勤講師側はどのような意識や観点で働いているのだろうか。