日本語学校 参与観察の備忘録

実態を社会学的にみてみよう。

席替えと異文化交流

夏休みを目前に、非常勤の先生からの熱い要望により席替えを決行することとなった。理由は、仲のいい学生同士がおしゃべりをしてうるさい、そのクレームが他の学生からもきている、リスニングの時ですら話しているという内容であった。日本語学校では複数の先生が1つのクラスを交代で教えるというティームティーチングの形式を取っている。そのため、複数の先生が同じクラスを見ているのだが、クラスが元気な学生で構成されている場合、その元気の良さのコントロールは教師側の手腕にかかっている。

ある先生は、うるささを上手く利用して授業を引っ張っていく。また、ある先生は名指してうるさいと注意をする。しかし、席替えを申し出た先生の方法を聞くと、その言葉が不明瞭であり何を注意されているのか学生が理解できないものであった。会話を聞いていた他の非常勤の先生から、◯◯先生、それじゃあ学生は理解しませんよ。怒られていることすら伝わっていないですよ、と指摘される。

しかし、席替えが唯一の解決策であると主張するため、席替えをすることになった。

いざ席替えとなると、学生からはブーイングが起こり、その席はエアコンが直接当たって寒い、暑いと文句が飛び交った。しかし、次の日はすっかり馴染んで、隣の席の新しい友達とワイワイ話している。隣の席は基本的に国籍が異なる学生にしているため、会話は日本語で行われている。ネイティブの自分がまったく分からない日本語で会話が繰り広げられ、互いに笑いあっている。側から見ると何が面白いのが全く理解不能である。ある種、別の意味でクラスが騒がしくなったが、たまに席替えするのもありだなと思えた出来事である。