日本語学校 参与観察の備忘録

実態を社会学的にみてみよう。

プレスメントテスト直前のクラス別学生態度

来日して直ぐにプレスメントテストを行い日本語能力毎にクラスを分ける。そして、一学期を過ぎたら、再度プレスメントテストを行いクラスを分ける。この再度クラスを分けるプレスメントテストに対する態度がクラスによって異なる。

1番上のクラスは、テストに対する慌ただしさはない。私たちな1番上のクラスですよ?という余裕を出している。大学の学部や院に進学する学生が多く、日本留学試験の準備をしたりと自分は自分という様子だ。

2番目のクラスはテキスト一冊が終わりなんとなく終わった達成感に浸っている。テキストをしっかり使うクラスの中では1番上のクラスになるため、その余裕があるのかもしれない。

3番目のクラスは、進度があまり変わらない2番目クラスに対して下剋上を仕掛けようと必死である。授業内容は、夏休み前までに一冊を終わらせるために授業内容が早いスピードになっている。スピードが早くなると日頃の漢字練習や語彙テストの頻度も多くなる。それに加えて復習プリントを沢山入れている。それに対して学生は、テストですから!と食らいついてくる。

これらより下のクラスは、マイペースにテスト準備をしている。テストの受け方の練習、すなわち、問題の指示文を読む練習や例をみて問題を解く練習、友達や先生に話しかけない練習をする。そのほか、復習のプリントを解いたりするが、優しい内容のため、ほぼ間違わないことに興奮する。

1番下のクラスでは、教師も含めてプレスメントテストを全く意識していない。特にテスト準備をすることもなく、ゆっくりと着実に進めている。

体調を崩したり事故に遭う学生

体調を崩したり、事故やアクシデントに遭う学生が後を絶たない。体調を崩し校内で倒れ救急車で運ばれる学生、寮で気を失う学生、車と接触事故を起こす学生、財布を無くす学生、アルバイト先で怪我をする学生。それ以外にも体調不良を訴える学生が多くいる。学生は300人近くおり、一ヶ月は30日しかないのだからアクシデントが起こらない日がない。平均して1日に2,3件のアクシデントが起こっているように感じる。

もうすぐ夏休み。何事も起こらないでほしいと祈るばかりである。

夏休みとアルバイト

留学生のアルバイトの時間は1週間に28時間という時間数は有名であるが、夏休みになると週40時間まで認められていることは案外知られていない。

1週間に40時間といえば、1日8時間勤務を週5日する事になる。すなわち、一般的な勤務形態と変わらない。

夏休みを目前に留学生はアルバイトの確保に必死である。留学生が入学した4月から留学生を支援する施設や、夏休みのホームビジットを実施する団体等を何度か紹介したことはあるが、これまで一度も、行きました、ホームページを見ましたという報告すらもらった事がない。

夏休みに向けて日本人の友達を作るように促したり、交流を持てるセンター等を紹介するが、アルバイトの入れ具合をみると行きそうにもなさそうだ。

ちなみに、7月は一ヶ月まともにシフトに入り出した月の給料が入るようになる月である。学生は給与明細を見せ合いをしながら、嬉々としている。

留学ビザが下り過ぎている件

今年は明らかにビザ発行許可が緩い。日本語学校側はある程度の不許可を見越して申請を出しているのにほぼ通っている。その為、日本語学校側も大慌てである。オリンピック前の日本語人材の育成なのか、留学生20万人計画の達成に向けてラストスパートにかかっているのか。留学生20万人計画の目標数値の達成ならば、測定は2020年5月1日現在の数値であるから、あと2年はこのままだ。まあ、その真相は定かではないが、現場は大慌てである。

机や椅子が足りない、教師が足りないという状況であるが、経営側はいつ引き締めに入っても良いように伏線を張って、備品を買ったり専任講師を雇ったりしない。備品はあるものでまかなったり、そのまま夏休みに突入することで講師の雇用の様子見をしている。

きっと2020年後は留学生の質に言及した政策転換をするのだろう。たぶん、アルバイト時間数を増やすことも盛り込んで。

 

 

クラス別「ワンワン」への反応

犬の鳴き声が「ワンワン」であることに対するクラス別の反応。

上級クラス、

「えっ、ワンワンですか?犬はワンワンと言いません。」

おわり

 

中級クラス、

犬の鳴き声マネ合戦。誰が上手いか競い合う。その後、

学生「先生!私は先生のうちの犬になりたいです!」

先生「先生は犬いらないです。」

学生「先生のうちはどこですか?自分で行きます。ごはんだけ、いいです!」

先生「先生のうちはアメリカです。(ウソ)みなさんはビザが必要ですから、先生のうちに来ることができません」

学生「でもあそびにいきたいです!」

先生「えーーっ」

エンドレスに続く

 

初級、

「ワンワン⁉︎⁉︎ なんですかっ せんせいっ」(最初の説明が聞き取れていない)

いぬがいいます です。

「おぉ、せんせい、もういちどっ‼︎」

犬マネをする。

クラス中が爆笑の渦。

 

ちなみに初級ほど音に反応するため、擬音語が楽しいらしい。「ピーポーピーポー」も好きである。

 

日本語教師にとっては日常の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

非常勤講師のエントリーショック

急遽、新しい非常勤講師がやってきた。日本語学校で働くのは初めてという。初級クラスに入ったその非常勤の先生は帰ってくるなり、副主任にこう言った。学生は赤ペンも持っていない、なんなんですか⁉︎せめて赤ペンくらい待たせて下さい、学校側で買ったらどうですか?と。

副主任の返事は、彼らは鉛筆を持ってくることができる、それですら褒められる学生なんです。まず鉛筆を持って勉強すること自体によくできたと思って下さい。日本語学校はそんなもんですよ、であった。

たしかに、彼らが自らノートを持ってくるようになったり、教科書に書いていない説明をしたときにメモを取るようになった姿を見ると、あぁ、学習する仕方を覚え始めたと感動を覚える。

非常勤講師のエントリーショックを見ることができる一幕だった。

授業中の携帯電話の回収

日本語学校では授業中に留学生の携帯電話を回収する。日本語学校では、とても当たり前で当然の行為である。集め方は様々で専門講師が決めたり、それぞれの教師に集め方を任せたりしている。主な集め方は、教師がカゴを用意し学生がそのカゴに携帯電話を入れる方法だ。しかし、それでは携帯電話を隠し持つこともある。そのため教師が教室を回って1人ずつ直接集めたり、名前を書いた模造紙を広げ、その上に携帯電話を置いたりという工夫をする。

しかし、それでも携帯電話を隠し持ち授業中にゲームをしたりSNSをする学生がいる。こうした時の罰則は様々である。ある専任講師は個別に指導しても話を聞かないときはその場で国へ帰れと言い、パソコンを開いて航空チケットを予約しようとして学生が慌てて止めて謝らせる方法を取っている。ある専任講師は連帯責任で全員掃除、そしてある専任講師はその日は携帯電話を1日取り上げて、預かる日数はルールを破った回数の二乗にしている。二乗を理解できない学生は毎日、まだですか?と教師にすがって来るという。そして周りの学生からケタケタと笑われている。