日本語学校 参与観察の備忘録

実態を社会学的にみてみよう。

留学生の寮からの旅立ち

4月に入学した留学生は最初の半年間、寮に住むことができる。家賃は光熱費を込みでの破格の値段である。寮は4人での共同部屋であるため、他の国の留学生と共同生活となる。こうした他国の学生との共同生活や初めて日本で住む事にトラブルは多い。例えば、寮生同士の生活の違いによる台所の使い方で揉めたり、友達を部屋に呼んで夜中までうるさくしたりしているなどがある。その他、ゴミ出しや掃除の仕方が異なるため、寮の担当者からいつも寮生は注意を受ける。そのため、留学生は寮での生活に嫌気をさしており、早く出たがる学生も多く、寮を出る事は留学生にとってこの上ない喜びなのである。

夏休みは自分で部屋を探さなくてはならない。不動産会社を紹介することはない。ただ、日本語ができない留学生の事情を察して代わりに家を探してあげる代わりに手数料を取るという犯罪に巻き込まれることもある。

こちらから賃貸探しに必要な日本語や敷金、礼金等を説明したこともあるが、それほど食いついてこない。理由を尋ねると、先輩や知り合いが紹介してくれるからとの事だ。紹介であれ不動産会社に行き着き、必ず必要になるはずなのだが。彼らにとっての「紹介」への信頼は絶大である。

ともあれ、寮で日本の家の掃除の仕方やゴミ出しの仕方を学んでいるはずだが、こうした躾にカンシャクを起こしていた留学生が個人でアパートに住み始めるとどうなるのだろう。今後の様子を見守りたい。