日本語学校 参与観察の備忘録

実態を社会学的にみてみよう。

日本語学校の「番犬」役

日本語学校には、万一の対応をする事務員がいる。出席率が著しく低いや生活態度が悪い学生の指導、学生がひどい病気や事故にあったときの学校側としての対応、入国管理局や警官が絡んだときの対応等に対応する。学生対応では、担任の先生のバックについて暗黙的に学生にプレッシャーをかけており、先生の言うことを聞かなければ、〇〇先生と話をすることになるよ、と学生に言えば一気に学生は黙る。ある日、担任の言うことを聞かない出席率の低い二年生が〇〇先生の指導行きになり、個室に呼ばれ個人面談をすると、わんわん泣きながら謝ったことがある。二年生とは言え、22,3歳位の男性である。何度か話を聞いたことがあるが、巧みな話術で逃げ場がないほど追い詰めている。間接的に話を聞いているこちらも気分が落ち込み滅入ってしまう。

仲介業者と揉めた時は、徹底的に戦う姿勢で毅然として対応する。仲介業者側もピンキリがあるため、上げ足を取るようなやり方で話を進める所もある。また、入国管理局や警官などの対応には慎重に対応しなければならない。

まさに日本語学校を色んな角度から守る仕事である。当の本人も気の滅入るような仕事だ、なんで俺がと話すが、不思議なことに容姿や態度等がとても「番犬」として似合っているのだ。

昔は普段は気のいいおじさんだったのに、だんだん付き合いづらくなったと仕事仲間は話す。番犬という役割が、彼本来の彼らしさをいつの間にか変えてしまったのかもしれない。